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2022/06/05
胃腸風邪、まだはやってるみたい

5月は胃腸風邪がなぜか少し多めでした。

6月になりましたが、嘔吐や下痢が主訴のお子さんを見かけますし、大人の方も同様の症状の方を見受けます。

小さなお子さんの胃腸風邪の原因ウイルスはよくノロウイルスやロタウイルスが知られています。

嘔吐や下痢になると、口から飲めないうえ、お尻からも下痢が出るので脱水になります。

以前も書きましたが、胃腸風邪で下痢嘔吐で飲めない場合は経口補水療法が有効です。

始めるタイミングは、発症してからすぐに開始するのが良いとされてます。早期に介入するほうが脱水も起きにくいですし、胃腸も弱らないといいます。

胃腸は食べ物が入ってくることで元気になる消化器です。もちろん大きくふかい潰瘍があるとか、ぼろぼろに傷んでいて出血しているなどのときは、絶食しないといけませんが、

特に小腸はテニスコート一面の広さの表面積があり、体の免疫の7割を担う重要な場所といわれます。グルタミンが唯一の栄養素であり、絶食ですぐに小腸粘膜は委縮してバリアが壊れ、いわゆるvacterial translocationとよばれる細菌の血管やリンパ管内への侵入が起きます。

そうした意図しない粘膜委縮が症状を悪化させます。

ですからなるべく口から栄養を取るということが大切なことになります。

他方無理やり押し込んでも嘔吐してしまいますので、そこはコツがいるわけですし、あまり経口補水療法にこだわりすぎて脱水となってしまうと、

こどもは脱水に極めて弱いので、すぐに状態悪化します。

なるべく頑張って経口補水療法を行いつつも、病院へ行くタイミングも逃さないようにしなくてはなりません。

実際ですが、乳幼児はお匙などで5分おきに一杯ずつのませ、徐々に量をふやしていきます。コツは根気よく一度に一杯与えずすこしずつです。

3−4時間で400ー500ml程度飲めればOKで、その後数時間にわたって嘔吐がなければ食事を炭水化物中心で消化に良いものを与えるとよいです。

もう少し大きいお子さんは(幼稚園の高学年や小学校)おちょこや小さなコップで5分おきに飲ませるとよいです。その後少しずつ量を増やしていきます。

3-4時間で500−700mlを目指します。その後嘔吐がなければ、炭水化物中心の食事を食べさせてもよいです。

飲ませるものはOS-1など糖分と電解質の入ったイオン飲料がよいです。ただ、小さいお子さんほど味に抵抗があってなかなか飲めないので、母乳、ミルク、あるいは薄めたジュースなどでもよいです。

3−4時間でペットボトル500ml飲むことが達成できなければ、救急病院に行くべきです。

また、嘔吐があったなら経口補水療法も大事ですが、経口補水療法を行いつつ、なるべく早期に病院に一度みせにいくのが最善です。吐き気止めをもらったり、熱も嘔吐の原因になるので解熱剤をもらうことで、自宅療養がぐっと楽になります。

病院にかかるときは、もしも下痢をしていればその下痢便をおむつごと持っていくのがよいです。トイレでしてしまった便はなかなか持っていくのが難しいですが、可能であれば持参すると診察時に大変参考になります。

嘔吐に関しては、嘔吐があればなんでも胃腸風邪というわけではありません。いわゆる自家中毒(ケトン性嘔吐症)や急性上気道炎などによる高熱、尿路感染症、虫垂炎などの急性腹症、髄膜炎などの中枢性疾患でも嘔吐はあります。嘔吐したら、その場で様子を見ず、いったん病院に行って相談するのが安全だと思います。

中高生やおとな、ご老人も、これからの季節食中毒には要注意です。

生ガキを食べてあたったり(ノロウイルスとか)、お刺身やお寿司で当たることもありますが、鶏肉や豚肉、牛肉などでも、サルモネラ菌、カンピロバクター、エルシニア菌、腸管出血性大腸菌(O157)、などによる腸炎になることがあります。唐揚げを買ってきたら、あるいはやきとりを買ってきたら、あるいは外食したら、実は中が生焼けだった、なんてこともあります。それでおなかが痛くなってしまうことも。

暑さでたべものは傷みやすいので夏場は食品の保存に関しても気を配る必要があります。

肉類と野菜類の調理の際も、鶏肉を洗ったり、お魚を洗ったシンクでお野菜を料理してサラダを作って食べたら当たってしまうこともあります。生ものは食べてませんという人にたまにありがちです。調理方法にも気配りが必要です。

後は手洗いです。コロナ禍ではあまりおろそかになりにくいとは思いますが、手を洗うことは重要です。

脱水対策は子供と一緒です、イオン飲料を少しずつこまめに補給することが重要です。

6月以降夏場も嘔吐や下痢や腹痛はちょこちょこありますので、みなさん気を付けましょう。もしもかかったら病院と連携し適切に対応しましょう。

まついファミリアクリニック