ブログ

ブログ

2024/07/23
来年の花粉症対策として今から舌下免疫療法を始めませんか?

 

来年の花粉症対策として今から舌下免疫療法を始めませんか?

 

今年もスギ花粉がひどかったですね。スギやヒノキの花粉は6月まででようやく飛散が終了し、夏休みに入り、花粉は全く無縁の状況となりました。お母さん方は夏休みは子供がいるので忙しい場合があるかもしれませんが、お子さん方はとにかく一番時間があるタイミングです。

 

花粉症に対しては、アレルゲンへの曝露を抑えたり、掃除したりエアクリーナーなどを使って環境を整える方法が重要ですが、それも限界があり、花粉症で悩まれる23月はとにかく抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)の内服が欠かせません。それでも症状の抑制には限界があり、根本的になんとかならんのかい!と思う次第です。

 

舌下免疫療法はそうした患者さんへの有効な治療手段となります。しかも根本的な治療になり得ます。ご存知だとは思いますが、スギ花粉アレルゲンを毎日少量ずつ、口の中(舌ベロの下)に1分ほど保持し、その後飲み込むだけの治療で、これを毎日毎日続けます。すると、体がスギ花粉に対して慣れるようになり、いざスギ花粉に接触しても過剰な免疫反応が起こりにくくなるというのが、この治療の原理です。

 

舌下免疫療法はスギ花粉が飛散していない時期にしか開始できません。大人の方はある程度融通が効きますのでいつでもスタートできますが、お子さんは(当院は小学生以上としております。)学校や習い事やスポーツが忙しいとなかなか手が回りません。ちょうど夏休みは少しお子さんには時間と余裕ができる期間ですから、スギ花粉で辛いお子さん、来春受験を控えるお子さんには、今からスギ花粉の舌下免疫療法をおこなっておくのが良いと思います。

 

まずは当院でスギ花粉に本当にアレルギーがあるのかを血液検査で調べさせていただきます。以前調べたことがある方も時間と共に変わっていたり、他に関連するアレルギーを検索するために検査を受けていただきます。当院にはドロップスクリーンという一度に41種類のアレルゲンを調べられる機械があるので、指先に極細の針で目に見えないほどの傷をつけて、そこから20μlというごく少量の血液をいただき、検査機にかけるだけです。注射器で太い針を血管に刺す必要はありませんので、1歳や2歳のお子さんでもできる検査です。

https://matsui-familiar-clinic.com/%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3


 

その後、できれば午前中に来院いただき、導入用の薬を院内でこちらの指導に従って飲んでいただき、30分以上経過を見て、アナフィラキシーなどの異常反応がおっこらないか確認します。

 

特に問題なければ、1週間導入用の薬剤を毎日できれば午前中に服用いただきます。服用の前後2時間程度は激しい運動や入浴などはできません。また服用後5分程度は飲水や食事ができません。

 

その後再度来院いただいて、問題なく経過していれば、治療用の薬に変更して、飲み続けていただくこととなります。内服期間は最低でも3年間となりますが、できれば5年間は内服した方が良いと言われております。

 

歯が抜けて生え変わるタイミングや口の中に怪我がある時は、お薬を飲むと刺激が入りやすくなり副作用のリスクが高まるので、そうしたときはいったんお休みします。お休みした期間によって、薬の再開方法が異なります。

 

スギ花粉以外にもダニに対するアレルギーがある方(一年中鼻炎があって鼻詰まりを起こす人のなかにダニアレルギーが原因であることがあります。)も、ダニ用のお薬で舌下免疫療法が可能です。

 

治療対象となる年齢は5歳以上(当院は小学生以上としております)で、重症喘息がなく、スギ花粉やダニに対してアナフィラキシーがない方で、かつ、ステロイド内服がなくがんの治療を受けておられない方としております。また、毎日根気良く3年以上続けられる方で、かつ、毎月1回必ず診察に来れる方に限ります。

 

3割負担の方で、アレルギー検査は5000円、毎月の治療費は2000−3000円ほどです。

 

花粉症の苦痛を忘れるほど暑くてしんどい時期ですが、毎年花粉症がお辛い大人の方は、来年に備えて、いまはじめてみませんか?特に小中高校生の方、時間がある夏休みが始めやすいですのでご検討ください。