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2026/07/02
蒸し暑くなると盲腸(虫垂炎)が増える?
7月に入りました。台風も今年は早くから日本に来ていますし、なにやらおかしな気候ですね。あまりにムシムシしてくると、私の頭の中にはある病気が思い起こされます。それは盲腸(虫垂炎)です。
勤務医時代に、日々がんの手術に追われていました。予定の癌の手術をやって、あーつかれたー、というときに、「先生、右下腹部が痛いという患者さんが来てます。」といわれ、診察して盲腸だー、ということはよくありました。そのまま腰椎麻酔をして緊急手術で虫垂切除をおこなったものです。
経験的に6月あたりから毎年盲腸が増える気がしていましたので、毎年6月になるとあるいは7月になると、盲腸が増えるなあと思って、そろそろ増えてくるよ、緊急手術でしんどくなるねー、などと同僚や看護師さんに愚痴をこぼしてました。
盲腸は季節性があるのか?これは私だけがそう勝手に思っていたことかもしれませんが、物が腐りやすくなる季節は盲腸も腐りやすくなって発生率が高くなるのではと思っていました。ほかのお医者さんも同じように思ってらっしゃる方も見えました。
しかし、その勘が正しかったみたいです。ある研究論文で、盲腸は気温が5.56℃上昇するたびにその発症率の増加すると証明されています。JAMA network open. 2022 Oct 03;5(10);e2234269. pii: e2234269.
やはり夏場は盲腸の発症リスクが高まる季節だということは正しいみたいです。
虫垂炎の原因は明らかにはなっていませんが、虫垂の内部がふさがることで病気のプロセスが始まると考えられます。閉塞は、腫大したリンパ節、硬い小さな便(糞石)、異物、腫瘍などにより、虫垂の開口部が閉塞してしまうと、虫垂の内腔が閉鎖空間となり中にたまっているものが腐敗などを起こして虫垂粘膜を傷害し虫垂自体の炎症へと発展すると虫垂炎となります。虫垂炎は悪化して虫垂破裂を起こすと、腹膜炎となり重篤化します。この場合、最悪敗血症から死に至ることもあります。
症状としては、典型的なのは、心窩部痛から始まる右下腹部痛です。最初にみぞおちが痛くなりその後心窩部痛が消え右下腹が痛くなるというものです。発熱や下痢を伴う場合もあります。おなかは痛いので前かがみ姿勢になりやすくなります。おなかを手で押して手を離したときに響くような痛みがある場合は、腹膜反跳痛といい、腹膜炎をきたしている可能性が疑われます。
治療は、かつては緊急手術がもてはやされましたが、現在においては、抗生剤投与でまずは治療を行い、治ってしばらく(3-4か月後)してから虫垂切除(腹腔鏡手術が主流)を行うという治療が一般化しております。(interval appendectomy)緊急手術は時間がかかったり、思わぬ術後合併症の原因となることもありますし、たとえば虫垂炎だと思って緊急手術したけど、虫垂癌や粘液腫などの別の怖い病気だったとのことで、再手術を予定される場合もありますので、注意が必要です。そうした意味では待機的な手術はメリットがあります。 ただし、腹腔内膿瘍がひどかったり、敗血症がひどかったり、抗生剤治療で待機できない場合は、昔同様に緊急手術です。
虫垂炎は昔に比べれば抗菌剤で治療できる時代になってきたといえますが、一歩間違えれば大変なことになる場合もある病気です。確実に予防できるものではありませんが、規則正しい生活や適正な食生活を送ることが大切ではないでしょうか?
右下腹の痛みがあるときはお気を付け下さい。ご心配な方はいつでもご相談ください。

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