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こどもさんの便秘ですが、大人は子供の便秘を自分の経験や普段の自分に置き換えて考えます。便秘で苦労しない親御さんは1日でも便がでないことには早い段階から違和感を覚えますが、自分が1週間に2-3回しかうんちをしない親御さんは、それが当たり前だと思って、子供のうんちが少々出なくても、気にならないかもしれません。
しかし、本当は毎日適当な量や固さの便が出ることが望ましいです。もちろん1日おき、2日おきが異常なわけではありませんが、毎日出ることが理想です。
便秘に何故なるのか?子供さんはもともとうんちを上手く出すのが下手です。どういう時にうんちをするのが良いのか?どのように押し出せば良いのか?うんちをするということがどういうことなのか?が小さいうちはわからないからです。また、お腹の力が弱いのでバナナうんちですら出すのが難しいこともあります。
人は通常、直腸と呼ばれる肛門の手前にある大腸に便の塊がやってくると、それを直腸は感じ取って、脳にうんちがきたことを伝えます。すると、脳はうんちがお尻の手前まできていて、出さないといけないと認識して、肛門括約筋を弛緩させて、腸管の蠕動を促し、うまくいきませてうんちが出るように促します。そして、うんちを出しきったら、今度は肛門括約筋を緊張させ、お尻を締めます。
しかし、小さな子供の場合には、そうした一連の仕組みが未熟なため、なかなか便が出せない場合があるのです。
そして、直腸に便が溜まりすぎると、直腸が伸び切ってしまい、便が直腸にやってきて、うんちをしないといけない、ということに体が気が付きにくくなり、逆に直腸に便が溜まっていることが普通なんだと勘違いしてしまいます。おまけに長時間便が大腸にあり続けると、水分が吸収されて硬くなり、余計に便を出すことが難しくなる、さらに便が溜まってしまう、硬いからお尻が痛くなるから、うんちははしたくない、と、がまんしてしまい、さらに溜め込む、という悪循環に陥るわけです。
そうした悪循環を断ち切れない場合に、深刻な便秘を抱えた、うんちをしたがらない子になってしまうのです。
近年は食生活も欧米化し、時間もゆったりと流れない、せわしない社会になっているので、便が硬くなりやすい環境にあると言えます。
バナナうんちが毎日でることは、我々大人にとっても幸せなことのひとつ。子供にとっても快便であることは幸せなことですから、便秘のサインがある場合は、せひ、気軽にご相談ください。
具体的な診断に関してはRomeⅢ基準が一般的に用いられます。
【RomeIII基準】
4 歳未満の小児では,以下の項目の少なくとも2 つが1 か月以上あること
1.1 週間に2 回以下の排便
2.トイレでの排便を習得した後,少なくとも週に1 回の便失禁
3.過度の便の貯留の既往
4.痛みを伴う,あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往
随伴症状として,易刺激性,食欲低下,早期満腹感などがある.大きな便の排便後,随伴症状はすぐ
に消失する.
乳児では,排便が週2 回以下,あるいは硬くて痛みを伴う排便で,かつ診断基準の少なくとも1 つ
がある場合,便秘だとみなされる.
発達年齢が少なくとも4 歳以上の小児では,以下の項目の少なくとも2 つ以上があり,過敏性腸症
候群の基準を満たさないこと
1.1 週間に2 回以下のトイレでの排便
2.少なくとも週に1 回の便失禁
3.便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往
4.痛みを伴う,あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往
診断前,少なくとも2 か月にわたり,週1 回以上基準を満たす
しかし、実際の日常診療においては,この基準を満たす必要はなく,項目のような臨床症状や所見があれば,便秘症と診断され、すなわち診断基準に当てはまらないことが必ずしも便秘症を否定することではありません。
毎日便が出ない、硬い便、うさぎのうんちのようなコロコロ便やひび割れの多い便がよくでる、うんちをしたがらない、というのは便秘の可能性があるので、ほんとに気軽に相談いただければと思います。
私が思うに大事なことは、親が思っている本当は好しがらざるスタンダードを、子供に押し付けないように、あるいは、ふつうならおかしいけれど子供がなにもいわないから、大丈夫なんだとおもいこまない、ということが、便秘に限りませんが、いろんな軽微な病気や異常を放置しないために大切にしたいと親としての心構えだと思います。
少々の便秘で何か問題になることは少ないでしょう。アトピーでもそうですが、少々痒かろうと、命取りにはなりません。鼻炎も子供は鼻が出るもの、と思えば、大したことはありません。でも、本当はスルッと便がでて、痒がらない、柔らかくツルツルな、生まれた時のあのきめの細かい肌がいつもでありつづけ、鼻も風邪がなければピタッと止まっている我が子であって欲しいと願うのが親心です。治療をしなければ、本来あるべきでないスタンダードがその子にとってはいつものことなので、なんの問題もないのだと誤認してしまい、どう考えても間違ったままのスタンダードが押し付けられたままになってしまいます。治療をすれば、子供は、完璧にはならなくても、本来の理想的な状態を理解して、それに近づこうとします。
たかが便秘、されど便秘。食が細くなったり、よくお腹が痛くなったり、トイレでなかなかうんちが出来なかったり、おねしょが治らなかったり、いろんな弊害にもつながります。
我が子が便秘かなあと思う際には一度ご相談ください。