お知らせ

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2023.06.12
1滴の血液で41項目のアレルギーの有無がわかります。(当院のドロップスクリーンにつきまして) 


 本日当院に“ドロップスクリーン”という機械を導入いたしました。ドロップスクリーンとはアレルギーの検査機です。指先を細い針の先でほんのすこし傷つけて1滴の血液(だいたい20μl)をいただけば、41項目のアレルギーについて検査ができる検査機器です。


 41項目の内訳は以下の通りです。

 ヤケヒョウダニ、コナヒョウダニ、

 ハウスダスト、ゴキブリ、蛾、

 ネコ、イヌ、

 アルテルナリア、カンジダ、

 アスペルギルス、ラテックス、

 スギ、ヒノキ、ハンノキ、

 シラカバ、ブタクサ、ヨモギ、

 カモガヤ、オオアワガエリ 

の吸入系19項目


 卵白、オボムコイド(卵黄)、牛乳、

 小麦、ゴマ、米、そば、大豆、

 ピーナッツ、

 トマト、バナナ、キウイ、リンゴ、モモ、

 鶏肉、牛肉、豚肉、

 マグロ、サケ、サバ、

 エビ、カニ 

の食物系22項目




以下のようなケースや患者様にお勧めいたします。

・アレルギー検査に際して採血に負担を感じる方。
・アレルギー症状があって簡単にアレルギー検査を受けてみたい方。
・アレルギーの原因がよくわからない方のスクリーニングに。
・採血が困難な方(小さなお子様とか。)でアレルギーのスクリーニング検査が必要な方。
・症状があるために就学前のアレルギー検査が必要な方
・ぜんそくやアトピーなどの症状が重く治療がうまくいかない方
・スギ花粉やダニなどの舌下免疫療法の適応の有無を判断したい

 また、花粉症の方が野菜や果物を生で食べたときに唇や口、のどなどにイガイガやかゆみ、腫れなどを感じるアレルギーを口腔アレルギー症候群(OAS)といいますが、花粉症の方にOASが起こる場合があり、それを花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれています。そうしたOASやPFASといった病気のスクリーニングにもおすすめの検査機です。

 基本的に6歳以上のお子様や大人の方で検査適応がある方が対象です。2歳未満のお子さんはできません。また2歳から5歳のお子さんは検査は可能ですが、まず初診では検査の説明をし、よく相談させていただき、適応のある方のみ、次回再診時に検査とさせていただきます。特に年齢制限を設けないこととしました!しかし2歳以下のお子さんに行うべきかどうかは相談させてください。



 ただし、食物アレルギーについてはやたらめったら調べることが果たしてよいか?という問題があります。特に小さなお子様は、こうした検査では今まで食べたことのないものまで検査されてしまうことがあります。検査で分かったことにより、食べたことないものが仮に陽性判定だった場合、その食物を子供に与えることを結果的にすごく悩むことになってしまう場合もあります。たとえばクラス2、3といったレベルの場合はあまり問題にならない場合もありますが、実際に食べてみたらアレルギーが起こることも否定はできません。(アレルギー検査の”クラス”というのはその対象にアレルギーがある確率を相対評価したもの。クラス0-1は陰性。クラス2は疑陽性、クラス3-4は陽性だが実際の症状との対比して解釈する必要がある。クラス5⁻6は陽性でかなり高い確率でアレルギーありといえる。)そうなると、むやみやたらに食物アレルギーを調べた結果、不安が募って本当は食べられるものが食べさせられない、とか、食べられなくなってしまう、といったおもわぬ盲点に陥る可能性があります。ある程度大きなお子様や大人の方で、22項目について経口摂取の経験がある方の場合は、食物アレルギー検査の結果と実際が解離する場合に、「検査は引っかかったけど別に何ともなく食べられるよ。」ということであれば検査結果と実際が解離しているだけなので、基本的に食物除去に必要はないと考えられ、問題ないのですが、経口摂取経験がなかったり乏しい方で、(ほとんどは小さなお子様になると思いますが)このような検査を行えば、「検査でクラス2がでているわ、これ食べさせて大丈夫かしら?やっぱり怖いからたべさせたくない。どうしよう・・・。」とか、「なんかリンゴたべるといつもえずくのよね、この子。やっぱりアレルギー検査でクラス3だから、リンゴは今後食べさせちゃダメなのかしら?あの子、リンゴが好きだし、普段何ともないのに。あーどうしよう、検査しなければよかった。」といったような悩みにさいなまれる可能性があるのです。他方、アレルギーの血液検査でひっかかっても、実際は食べられて何ともないというお子さんや大人の方も多くいらっしゃいまして、たとえばクラス2とか3とか言われても実際は何の影響もなかったりすることもあり、食物アレルギーの血液検査結果にかならずしも振り回される必要はありません。ですから、アレルギー検査の結果の解釈は慎重に行う必要があり、検査の結果が妥当かどうか、実際にどの程度のアレルギーが起こるのか、詳しく調べるために経口負荷試験など確実な検査が必要な場合があります。そうした事情をよく理解していただいて(特に小児の場合は)この検査は受けていただく必要があると思います。特に食物アレルギーについては、もしも悩ましい結果が出れば、専門家へ紹介させていただき、詳しく調べていただくことをお勧めしております。

 
 いろいろ申しましたが、岐阜市内ではまだ導入されている医療機関が少ない検査機器でして、身近な診療所でたった1滴の血液で簡単に41項目ものアレルギー検査が一度に出来ますので、本当に検査が必要な方や、検査を受けてアレルギーをはっきりさせたいという方には、本当に有益な検査ユニットだと思います。ドロップスクリーンでの検査をきっかけにアレルギーの原因がわかったり、アナフィラキシーのリスクを回避できたり、専門機関へ紹介させていただいてアレルギーのお悩みを解決できることもありますので、原因がわからない何らかのアレルギー症状で悩まれている方は当院のドロップスクリーンをぜひご検討ください。