ステロイド外用剤をむやみに怖がらないで。

アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹などにおいてステロイド外用薬を処方することがあります。ステロイドは副作用を心配される方がいらっしゃいますが、適切に使用すれば、無害に等しく皮膚症状を改善させます。

ステロイドを塗らないことで子供さんが痒がってかきむしったり、かゆみで機嫌が悪かったり、夜間熟睡できないことの方が、お子さんの正常な発達を妨げ、将来的に慢性的なアトピー性皮膚炎で悩む結果になることがあるので、ステロイド剤を恐れず、適切に使うことが重要だとおもいます。

でも本当に大丈夫なの?どのくらい塗るとやばいの?といった疑問が生じますよね。英語論文で調べますと、一番強いデルモベートというステロイド剤の場合週に15g(5g軟膏3本)も使ったり、その次に強いランクにあるリンデロンDPならば、週に49g(5g軟膏10本)使う場合に副腎皮質不全といった副作用をきたす可能性があるといいます。しかしその場合も一過性であり皮膚が治って使う量が減ってくると回復します。ここまで強い薬を処方することはまずありません。特に小児にはありません。小児の場合ですが、子供さんにリンデロンVという軟膏を処方する場合がありますが、これはリンデロンDPよりも弱い中くらいのクラスの軟膏ですが、副作用を出さないためには、子供では中くらいのクラスのステロイドで週に50g以下にすることが望ましいとされていますので、5g軟膏で10本までにしていれば問題ないはずです。

お顔や陰部はステロイドの吸収率が全く違いますので(10−50倍効きやすい)、そうした場所には弱いステロイドを処方しますので、塗りすぎで問題となることはないと理解してください。

さて5g軟膏10本とは、どれほどの量なのでしょうか? 一般に人差し指の先端から第 1 関節部まで 5g チューブ から軟膏を出すと(finger tip unit という)大体 0.5 g となり,この量が成人の手で 2 枚分の広さをカバーする適正な量と言われています。これを守りながら外用剤の塗布を行えばお子さんの例えば背中全体を塗るには手のひら3−6枚分ぐらいでしょうか、であれば0.75-1.5g/回であり、1日2回塗るならば1日に5g軟膏半分ということになります。これを1週間塗っても、17−18gですので、この量で副作用が出ることはないということに納得いただけると思います。

さて、塗り方ですが、根気よく塗ることが大切です。1日1回入浴後のみで良いので、手のひら2枚分の広さが人差し指の先一本分をめやすとしてしっかり塗ってください。塗りすぎても問題ないですが、塗らなさすぎは効果がないので、副作用を恐れることなくしっかりと塗ってください。1週間ぐらいでよくなりますが、赤みがあるところは炎症がまた残っているので、しつこく塗ってください。そうでないところは塗らなくても良いですのでその代わりに保湿剤をしっかり塗ってください。保湿剤は塗りすぎで問題になることはありませんのでしっかり塗ってください。炎症が治まってステロイドを塗る範囲が狭くなれば、ステロイドの塗る量も減ってきます。1−2週間程度塗ってよくなってきたら、ステロイドを1日置きに塗るようにしてだんだん間隔をあけていきます。途中で悪くなったら、もう一回原点に立ち帰って塗り直すということを繰り返します。加えてしっかりと保湿をして、汗などの汚れは入浴でしっかりと洗い流す習慣をつければ、よくなります。

むやみに怖がらず適切に根気よくです。

 

(本稿はステロイドを怖がってどうしても塗ってもらえない親御さんが何人もおられまして、そのお子さん(乳幼児)は真っ赤っかでカサカサで痒そうな苔癬化した湿疹が多発し、診察中もボリボリ体をかきむしる有様で、親御さんはその辛さを知るよしもないかもしれませんが、この子はきっと痒くて辛かろうと思わざるを得ませんでした。そんな親子になんとかステロイドを忌み嫌わずに塗ってもらえるようにステロイド外用剤について思うところを書いてみることにした次第です。その際にも参考にいたしましたが、九大の古江教授が実際の塗り方の指導ついて丁寧にお書きになられたものがありました。https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/58/5/58_KJ00005648261/_pdf  493ページの右下あたりの鉤括弧内の文言は患者さんや保護者への名医のメッセージであり、特に必見だとおもました。)

 

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