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2022/01/24
小児用ファイザー製コロナワクチンは打つべきか否か?どうなんでしょう?

小児のコロナワクチンについて、安全性とか有効性とかはどうなんでしょうか?打った方がいいのかどうなのか?ちょっと調べてみました。

CDCは以下のように報告書内で報告しています。

2021 11/3~ 2021 12/19の期間に延べ870万回ファイザー製小児用ワクチンが接種されているが そのうちVAERSに4249件の有害事象報告がなされ、そのうち4149件(97.6%)は軽微な問題ない副反応であった。また42504 人の子供が(5−11歳)がv-safeというワクチン安全性評価プログラムに登録され17180件(57.5%)に局所反応、12223件(40.9%)が全身性反応を認めている。これはこのワクチンが承認前に行われた臨床試験の報告に類似している。

VAERSに報告された有害事象を解析すると、

4149件中 嘔吐7.6% 発熱 7.0% 頭痛6.2% 失神6.2% めまい5.9% 倦怠感 4.8% 嘔気 4.6% 蕁麻疹4.5% 発疹4.0% 顔面蒼白3.5%(この中にはワクチンそのものの問題や接種量のミス、保存ミスなども含まれる。それら副反応に含まれない異常は全体の27.9%)

重篤な反応報告は4249件中100件で

発熱29% 嘔吐21% 血中トロポニン上昇15% 胸痛12% 心臓エコー検査正常 12% 血液検査実施11% CRP上昇11% 新型コロナ抗原および核酸検査陰性 11% 虫垂炎10% 心電図正常10% 頭痛10% 発疹10% てんかん発作10% 集中治療9% 末梢血一般検査正常 8%

心筋炎は11例のみで全例回復している。

また死亡例を2例認めているがワクチンとの関連はないと結論されている。

v-safeに登録された42504人については・・・

一回目については・・・42504人中

局所反応として・・・

かゆみ3.8% 発赤3.7% いたみ52.7% 局所の腫脹3.9%

全身反応としては・・・

腹痛5.1% 筋肉痛7.1% 悪寒3.9% 下痢2.6% 倦怠感20.1% 発熱7.9% 頭痛13.9% 関節痛2.1% 吐き気5.0% 発疹1.2% 嘔吐2.3%

2回目については・・・29899人中

局所反応として・・・

かゆみ3.7% 発赤4.4% いたみ55.8% 局所の腫脹4.9%

全身反応としては・・・

腹痛6.4% 筋肉痛10.2% 悪寒6.8% 下痢2.2% 倦怠感25.9% 発熱13.4% 頭痛19.8% 関節痛2.9% 吐き気6.9% 発疹1.0% 嘔吐2.7%

(なお、VAERSは米CDCとFDAが共同で運用しているワクチン安全性評価のためのシステムで、有害事象に関するレポートを医療従事者や製薬会社、一般市民メンバーから受け付けている。内容を専門チームが吟味して的確な有害事象表現に置き換えて解析する。入院したり、入院期間が長引いたり、危機的な有害事象であったり、後遺症が残ったり、子供に奇形が生じたり、死に至るケースを重大な副反応と定義してそれ以外と区分けしている。また、v-safeはCDCが作った安全評価のプログラムで、コロナワクチン接種1回目または2回目が終了した子供がオンラインで登録できるシステムで、ワクチン接種1週間の副反応や有害事象について収集する。〕

以上から小児へのファイザー製ワクチンの投与において重篤な副反応が起きる可能性は極めて稀であり、800万人もの子供が接種したがそのほとんどは軽度から中等度の副反応であった。二回目まで大きく問題となるような副反応もなかった。

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm705152a1.htm

以上のごとく結論しています。(オミクロン株到来前のデータですが。)

一方で5-11歳に対するコロナワクチン(ファイザー製)の有効性についてはNEMJの論文で昨年9月の時点ですが90.7%としており、高い有効性を誇っています。(ただしオミクロン株登場以前のデータではあります。)

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2116298

米CDCは5−11歳も積極的に接種するように進めています。

よって現時点では、後遺症などが残る可能性は極めて低い安全なワクチンで、有効性も高く、案外お勧めできるワクチンあると言えます。

でも、保護者として受けさせるかどうか心配な点は、

�@mRNAワクチンで遺伝子書き換えなどが起こらないか?将来的な遺伝子レベルでの変異による弊害が起きないか?

�A辛い副反応で子供が辛い思いをしないかどうか?

�B心筋炎のような怖い副反応が起きないかどうか?

�C別に接種させなくてもどうせ子供は軽症で済むのだから無理に打つ必要はないのでは?接種で変な副反応で重大なことになることが心配だ。

�D接種後に大人と同じようにまた免疫レベルが半年も経たないうちに落ちてしまい、何回も打たないといけないのではないか?打ってもかかるのならワクチン打たなくてもいいのでは?

ぐらいかなあと、4歳の子供を持つ筆者として勝手に推測しました。

また11歳のお子さんの保護者の場合は

�E12歳になってから接種するのがいいのかどちらがいいのかわからない。

と言った点かもしれません。

以下が上記に対する私見です。

  1. mRNAが細胞の核に侵入してDNAを書き換えるためには逆転写酵素が必要です。人間には逆転写酵素は存在しませんので、書き換えられることはありませんし、しかも極めて短期間で崩壊してしまうmRNAがDNAの書き換えの原因になることはありえません。
  2. ほとんどが重症でないイベントであったとの報告がなされていますので、熱がもし出れば解熱剤を内服するなど、対処的な対応でほとんどが問題ないはずです。5−11歳に対する接種量は大人の3分の1です。
  3. 心筋炎は稀で10代の発症率よりも低く、発症例は全て軽快する軽傷であったと報告されていますので、リスクは極めて小さいはずです。
  4. これについては判断が難しいです。ただ、重症化してコロナで死亡するケースもありえますので、とくに基礎疾患のあるお子さんは率先して受けるべきですが、元気な普通のお子さんが打つべきかは本当に難しい。ただ、学校生活や様々なシーンでコロナのせいでいろいろな制限がかかる現状で、それが正しい生育の妨げになっているのも事実ですので、コロナの感染状況にもよりますが、その制限を外してあげるためと考えるならば接種が妥当ではないでしょうか?
  5. これもまた何回も打たないといけなくなるかもしれませんが、重症化リスクを減らす効果は大人と同じく二回の接種で担保されるであろうと考えますので、全く打たないよりは打っておいた方がいい気がいたします。小児の他のワクチンも実際にかかるかどうかわからない病気だけど接種しておけば重症化しない、あるいはかからないかもしれないから接種しているわけです。そうした他のワクチンと同じ見地に立てばコロナワクチン接種だけ例外視するのはあり得ないかなとも思います。
  6. 11歳と12歳の狭間の方はどちらでも良いとされています。1回目が11歳で2回目が12歳の場合は接種量を12歳のときは年齢相応の量、つまり3倍(大人と同等)に増やすようにCDCは解説しています。ただし11歳のうちに12歳未満の接種量で二回打ってしまった場合、12歳になったからといって打ち直す必要はないようです。(厚生労働省の方針では、一回目接種時に11歳であった場合は2回目接種が12歳になっていても2回目も小児用ワクチンの接種を行う方針になっているそうです。また11歳で小児用接種券が郵送されてきた場合に、初回接種の時点でご本人が12歳となってしまっている場合は、そのお子さんについては成人と同等のワクチンとワクチン摂取量にて対応することとなっているそうですので追記いたします。)

最後にもう一つ、オミクロン株にほんとうに有効なのか?これについてはよくわかっていません。でも大人はブースター接種もしていますから、未接種よりは接種済みの方が重症化を回避できるかもしれません。

最終的には保護者の方が十分に納得して接種すべきであることはご承知ください。でも、感染状況が落ち着いてコロナが流行らなくなったら、打たせたくない気もしますよね・・・むずかしい。。。うちはまあ、うたせようかな!

ただ、うちでは小児コロナワクチン、いまんとこ打てません。。。。すみません。(当院で接種可能となりましたので訂正いたします。)

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