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マイコプラズマ肺炎が収まりません。こじらせてから来られる方も結構多いので、勝手ながら、今日は当院からマイコ注意報を発令させていただきます。
みなさん発熱すると新型コロナやインフルエンザばかりに気が取られがちですが、なかなか治らない風邪ではマイコプラズマも考える必要があります。咳がひどくなる、咳が治らない、熱が悪化する、熱がなかなか下がらない、など咳と熱が続くのはおかしいと思って病院を受診しましょう。長い間お辛い症状に悩まされる前に診断がつくことが多い病気です。特に当院には、胸部レントゲンや血液検査機器、抗原検査、およびSpotFire(多項目同時PCR検査機器)がありますので、マイコプラズマの診断に不足なく対応できます。我慢されてほかの病院で診てもらったのに治らないからと受診される方が多いです。我慢しすぎは肺炎をこじらせ入院に発展しかねませんし、治るのにも時間がかかったりしますので、早めに受診する意識を高めていただくことをお伝えしたいです。
風邪は発熱してからおよそ3日経過するまでの間に熱が引いてくることがほとんどです。例えば月曜日の夜に熱が出たら、火曜、水曜、木曜までには多くは熱は下がるわけです。それが金曜日朝になっても下がらないのはおかしいと思うようにしていただきたいです。火曜日の夜に熱が出たら、水曜、木曜、金曜までに熱は下がるわけです。それが土曜日朝になっても下がらないのはおかしいと思うようにしていただきたいです。おかしいと思ったらなるべく午前中に受診するように心掛けていただきたいです。重症感染症の場合に入院可能な病院での治療が必要となることがありますが、病院というところはコンビニみたいに融通が利くところではなく、たいてい午前中しか診察を受け付けてくれないのです。ですから、早めに受診する癖をぜひつけるようにお願いいたします。当院は予約診療を行っている病院ですが、緊急時は電話でお問い合わせいただければ直接ご来院いただければ、対応いたしますし、直接ご来院されても対応いたしますから、予約がいっぱいだからということはあまり気にせず、お気軽にお電話ください、あるいは受診してください。
ウイルスは抗ウイルス薬が利く場合がありますが、抗ウイルス薬が存在するウイルスは数少なく、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、サイトメガロウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルスぐらいで、風邪ウイルスのほとんどは根本的な治療法はなく、それがなくても重症化する可能性はまれで自然に治ります。
一方マイコプラズマはウイルスではありません。細菌ではありませんが微生物です。細菌は細胞壁や細胞膜という外側に殻を持っているのですが、マイコプラズマには細胞壁はあaりません。自然治癒を見込める細菌ですが、抗菌剤の投与が必要となるケースのほうが多いです。
細胞壁がないことは抗菌剤によってはマイコプラズマをやっつけることができない原因になっています。
例えばペニシリンやセフェム系の抗菌剤は細胞壁の合成を阻害することで、細菌の増殖を抑え効果を発揮します。しかし、マイコプラズマでは細胞壁は持たないので市防壁を傷害してもマイコプラズマは痛くもかゆくもないのです。
細胞壁をもたないマイコプラズマには、マクロライド系抗菌剤、ミノサイクリン(テトラサイクリン系抗生剤)、ニューキノロン系抗生剤が有効です、マクロライドやミノサイクリンは菌のタンパク質合成を阻害し、ニューキノロンはDNA合成を阻害しますので、細胞壁のあるなしは関係ないわけです。よってマイコプラズマに効果があるわけです。
今時はもうないと思いますが、風邪でウイルス性のはずなのに意味もなく抗生物質をもらっている内服中の患者さんが、抗生剤を飲んでいるから大丈夫と勘違いして、症状がつらくてもがまんしてしまって、風邪をこじらせるのが最もよろしくないパターンです。あるいは、風邪薬を5日間とか1週間もらっていて、なかなか治らないけど薬がまだあるからと油断して受診を思いとどまってしまうケースもよろしくないです。
マイコプラズマは治る病気です、タイミングさえ逸しなければ重症化せずに治ります。たとえくするを飲んでいたとしても長引く風邪症状は放置せず早めにかかりましょう!